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雨がたくさん降る場所と降らない場所があるのはなぜ?

日本は降水量が多い国でしょうか?少ない国でしょうか?

また、あなたのお住まいの地域の1年間の降水量は何㎜くらいかご存知でしょうか。

ところで、降水量を表す単位は㎜(ミリメートル)を使います!

これがあまり馴染みのないことで、普段あまり使わない㎜を基準とすると、どれくらい降っているのかが想像しにくいんですよね。

(1)東京の年降水量=1500mm??

東京の年間降水量はおよそ1500㎜になります。わかりやすくすると150㎝です。

東京のある地点に容器を置いて1年間放置すると、150㎝の水が貯まるということです。

身長が150㎝くらいの人は、自分の身長くらいなんだと思ってもらえればイメージが湧くでしょうか。

世界の平均年降水量は880㎜と言われていますので、東京は世界の2倍弱の雨が降っていることがわかるわけです。

(2)なぜ雨が降るのか?

なぜ雨が降る地域と降らない地域があるのでしょうか。

これを解き明かすためには、雨が降る仕組みを学んでおきたいと思います。

すごく簡単に言うと、地表にある湿った空気が何らかの理由で上空に上がっていく(上昇気流)と、雲ができて雨が降る。ということになります。

前回の気温の記事で、気温の低減率の話をしたのを覚えていますでしょうか。

気温は標高が100m上昇するたびにおよそ0.55〜0.65℃低下するというものです。上空は気温が下がっていくため、飽和水蒸気量が小さくなり、水蒸気が水滴になったものが雲になるのです。

いずれにしても、上昇気流により湿った空気が上っていくとことによって雨が降るということなります。

この際に、気圧の概念を持っておくとわかりやすいです。

気圧=上空から地面に向けて空気を押す力のこと

つまり、高気圧(気圧が強い)ということは下降気流が発生し、低気圧(気圧が弱い)ということは上昇気流が発生しやすくなると言うことです。

そのため、雨が降る場合は低気圧のことが多いです。台風のことを熱帯低気圧と言いますよね。

逆に高気圧だと晴れることが多いです。

「本日は日本列島は高気圧に覆われて、よい天気になるでしょう」などというお天気ニュースを耳にしたら、その日は下降気流が発生しているのだと予想することができるわけです。

(3)地球を4つのエリアに分けて考える

さて、日々の天気はもちろん変わっていきます。

しかし、地球全体の規模で見た場合に、基本的に低気圧の場と、逆に高気圧の場所があります。

これが大気大循環の図になります。地球を4つのエリアに分けます。

・低緯度地域(緯度0〜20度付近)は赤道低圧帯…低気圧のため多雨

・中緯度地方(緯度20〜40度付近)は中緯度高圧帯…高気圧のため少雨

・高緯度地方(緯度40〜60度付近)は高緯度低圧帯…低気圧のため多雨

・極地方(緯度60〜90度付近)は極高圧帯…高気圧のため少雨

低圧帯は降水が多く、高圧帯は降水が少なくなります。

その国や地域が上記の4つのうち、どのゾーンに入っているのかを手がかりに、おおよその降水量を予想することができるわけです。特に北極や南極などの極地方は、いかにも雪が降っているようなイメージがある人もいるのではないかと思いますが、高気圧となるため降水量は極めて少なくなります。(吹雪で雪が舞っているため降っているように見えるだけなのです)

(4)上昇気流が発生しやすい4つの条件

また、上昇気流が発生し、雨が降りやすい条件が4つあります。

地形性降雨…風が山にぶつかり上昇気流が発生する場所

対流性降雨…空気が急激に温められて上昇気流が発生する場所

前線性降雨…暖気と寒気がぶつかり、暖気が上昇する場所

収束性降雨…低気圧のため、上昇気流が発生する場所←これについては上記に書いたとおりです。

①〜④を踏まえて、世界の諸地域の降水量について見ていくと面白いです。

さらに、1年は12ヶ月。どの季節に雨が多いのか、少ないのかについても注目できるようになるといいですね。

①の例…日本。

日本海側は冬の降水量が多く、太平洋側は夏の降水量が多くなります。

これを地形性降雨と季節風を関連させて考えていきます。

冬はシベリアから北西の季節風が吹き、日本海で水分を含ませて、山脈にぶつかり地形性降雨となるわけです。

②の例…熱帯地域のスコール

熱帯地域は日中の気温が高く、温められた空気が上昇して活発に雨雲を形成していきます。これがスコールの原因となり、土砂降りの雨を降らすわけです。日本でも夏になると夕立が増えますが、これも日中に気温が上がることで、上昇気流が発生することで説明ができます。

③の例…日本の梅雨前線

6月頃、オホーツク海気団(寒気団)と小笠原気団(暖気団)が吹いてきます。

この2つの気団がぶつかり合うことで上昇気流が発生し雲が作られます。

④の例…赤道付近の赤道低圧帯と、高緯度付近の高緯度低圧帯

赤道付近と、緯度40度付近は年間を通して低圧帯が分布しやすいエリアとなっています。そのため、空気が上昇しやすく雨が降ります。

世界一の多雨地域として知られるのは、ヒマラヤ山脈の南麓にあるチェラプンジという都市で、最高記録はなんと26000mm以上となっています。この地域は、特に夏にインド洋から湿った季節風が吹き、ヒマラヤ山脈にぶつかって①地形性降雨をもたらすことが原因となっています。

まとめ

私たちが普段生活をしていく中で、雨は通学や通勤、またレジャーや行楽の妨げになり得るため嫌われがちですが、一定の降水量がみられる農業の条件となるため、私たちの居住地域の分布とも大いに関係があります。そのような視点で降水量を考えてみるとまた面白いのではないでしょうか。

ここまでお読み頂きありがとうございます。次回は「なぜ風が吹くのか」のお話でまたお会いしましょう。

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この記事を書いた人

小学生の2児の父。学生時代に東南アジアを旅したことがきっかけで、高校で15年ほど地理を教えています。地理学が生活に役立つことを発信してみようとブログを始めました。世界を旅しながら素材を集めてオリジナルの教科書を作ってみたいと思いつつ今日に至っています。

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